充血やゴロゴロ感、かゆみなどの症状を引き起こす目のアレルギー。
症状が似ていても原因はさまざまなので、病気の種類にあわせた適切な治療を受けることが大切です。
この記事ではアレルギー性結膜炎の症状や種類を紹介したうえで、治療法や対処法もあわせて解説します。
目の病気「アレルギー性結膜炎」とは
「アレルギー性結膜炎」とは、アレルギー反応によって充血や目ヤニ、異物感などを引き起こす目の病気のことです。
花粉やハウスダストをはじめとしたアレルゲン物質に対して、免疫が過剰に反応することで、さまざまなアレルギー反応が引き起こされます。
ウイルス性や細菌性の感染性結膜炎は急性や一時的な症状が多いですが、アレルギー性結膜炎は治るまでに時間がかかったり、季節ごとに繰り返したりすることも。
日本人の約15%~20%は発症経験があるともいわれており、多くの人が悩まされている病気の1つです。
アレルギーによる目の病気の種類
アレルギーによって引き起こされる目の病気には、いくつか種類があります。
充血やかゆみなど似た症状が出ることもありますが、それぞれ原因が違うので、眼科を受診して詳しい検査を受けるようにしましょう。
ここでは、アレルギーによる目の病気の種類について紹介します。
季節性アレルギー性結膜炎
季節性アレルギー性結膜炎とは、特定の季節に増えるアレルゲン物質によって引き起こされる目の病気です。
春先に多く飛散するスギやヒノキの花粉が代表的なアレルゲンで、これらの物質が影響して花粉性結膜炎(花粉症)を発症します。
シーズンになると、毎年結膜炎の症状に悩まされている人も多いかもしれません。
原因となる花粉はブタクサやヨモギ、カモガヤなど種類や季節もさまざまです。
毎年同じ季節に症状が出やすいほか、アレルギー性鼻炎を持っている人に多く見られるのが特徴です。
通年性アレルギー性結膜炎
通年性アレルギー性結膜炎とは、ハウスダストが原因で引き起こされる目の疾患です。
花粉症の症状に似ていますが、原因となるアレルゲン物質は花粉のように季節的なものでなく、身の回りにあるホコリ、ダニ、カビなど。
そのため年間を通して目に症状が出ることが多く、通年性アレルギーとも呼ばれています。
症状の出方に波があることも多く、年間を通して何らかの自覚症状があるかもしれません。
春季カタル
春季カタルとは、慢性重症型のアレルギー性結膜炎です。
10歳くらいまでの男の子に見られることが多い症状ですが、大人になってから発症するケースも。
春季カタルを患うと、以下のような症状が出ます。
- 激しい目のかゆみや痛みがある
- 異物感があって目が開けられない
- 白い糸状の目ヤニが出る
上まぶたの裏に石垣のような隆起ができるのが特徴で、炎症が強い場合は視力低下を招く可能性もあります。
点眼薬による治療が必要なケースもあるので、症状を感じたら早めに眼科を受診しましょう。
アトピー性角結膜炎
アトピー性角結膜炎とは、アトピー性皮膚炎を伴うアレルギー性の結膜疾患です。
年間を通して症状が出やすく、特に目やまぶたのかゆみを感じやすいでしょう。
ほかにも充血や目ヤニ、涙が流れるといった症状が見られます。
また、目の周りに皮膚病変があるケースが多いこともこの病気の特徴。
皮膚病変の影響でまばたきがしにくくなると、角膜の保護作用低下につながるため、角膜びらんなどの角膜上皮障害を起こす恐れがあります。
白内障や網膜剥離などを引き起こす可能性もあるので、早めに眼科を受診しましょう。
巨大乳頭結膜炎
巨大乳頭結膜炎とは、コンタクトレンズや眼科手術で使った糸などの異物による刺激が原因で引き起こされる目の病気です。
上まぶたの裏にブツブツした突起がたくさんできるのが特徴で、季節性や通年性のアレルギー性結膜炎と同じような充血やかゆみ、目ヤニが出るといった症状が多く見られます。
なかにはコンタクトレンズが汚れたり、ゴロゴロした違和感があったりするものの、かゆみは感じないといったケースも。
特にコンタクトレンズを使用している人がなりやすいので、定期的に眼科で検診を受けるようにしましょう。
目に現れるアレルギー症状
目に現れるアレルギー症状には、以下のような異常が多く見られます。
- 赤く充血している
- かゆみがある
- 異物感がある
- 目やにや涙が出る
- まぶたの裏側にブツブツができている
- 白目がぶよぶよしている
アレルギー性結膜炎の主な症状には、充血やかゆみ、ゴロゴロとした異物感があげられます。
充血には結膜充血と毛様充血の2つがありますが、アレルギー性結膜炎の場合は結膜充血によるものが多いでしょう。
まぶたの裏や白目の周辺が赤くなり、目ヤニや涙が出る場合もあります。
かゆみは結膜が炎症を起こしている時に生じやすくなるでしょう。
実際に目の中に何かが入っていないのに異物感があるなら、角膜や結膜が炎症を起こしている可能性が考えられます。
また、アレルギー症状が出るとまぶたの裏にブツブツができたり、白目がぶよぶよしたりする結膜腫脹を引き起こすことも。
いずれの場合も自己診断は難しいので、気になる症状がある人は早めに眼科を受診することが大切です。
目のアレルギーの治療方法
目の充血やゴロゴロ感などの症状を感じていると「どうやったら治る?」「眼科ではどんな治療をするんだろう?」と不安になりますよね。
目のアレルギーには、点眼薬や内服薬、注射などを用いた治療方法が基本です。
ここではアレルギー治療に用いられる点眼薬について、詳しくチェックしてみましょう。
抗アレルギー点眼薬
抗アレルギー点眼薬は、アレルギー反応を引き起こす物質を抑制し、症状を抑えるために用いられる治療方法です。
点眼薬の代表的な種類は2つ。
1つ目はヒスタミンなどの化学伝達物質が出るのを抑制する、ケミカルメディエーター遊離抑制点眼薬。
そして2つ目はヒスタミンが知覚神経や血管などに作用することを抑える、抗ヒスタミン点眼薬です。
季節性アレルギー性結膜炎の場合は、症状が出る前から使い始めることで、目の不快な症状を和らげる効果が期待できるでしょう。
ステロイド点眼薬
目のアレルギー症状が強かったり、角膜に傷ができていたりする場合にはステロイド点眼薬が使用されることがあります。
ステロイド点眼薬は効果が強く、アトピー性皮膚炎がある場合にはステロイド剤軟膏を使って、目の周りを治療することも。
高い効果が期待できますが、眼圧が上がるなどの副作用もあるので、できるだけ短期間の使用にするなどのコントロールが必要になるでしょう。
免疫抑制剤点眼薬
抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬などの治療をしても、あまり回復が見られない場合には、免疫抑制剤点眼薬が用いられるケースもあります。
特に慢性重症型のアレルギー性結膜炎である、春季カタルの治療に使われることが多いようです。
免疫抑制剤点眼薬を使った治療とあわせて、生活習慣改善などの指導が行われることもあるでしょう。
アレルギーから目を守る対処法
目のアレルギー症状を防ぐためには、日頃の対策やセルフケアが大切です。
症状の元凶となっているアレルゲン物質の検査をして、必要に応じて点眼薬などの治療を受けましょう。
また、できるだけアレルゲン物質を避けたり、コンタクトレンズの正しい使い方を心がけたりすることも大切です。
それでは最後に、アレルギーから目を守る対処法について紹介します。
花粉の対策
花粉が原因の季節性アレルギー性結膜炎の場合は、花粉対策を万全にしましょう。
花粉が多く飛ぶ季節には飛散情報をチェックして、外出時にはマスクやメガネ、ゴーグルなどを着用するのがおすすめです。
外出先から戻ってきたら、家に入る前に服についた花粉をしっかり払って、手洗い、うがい、洗顔をして顔についた花粉を洗い流します。
また、花粉が多い季節はできるだけ窓を閉めるようにして、洗濯物を室内干しにすることで、外から花粉が入ってくるのを防げるでしょう。
ほかにも空気清浄機を使ったり、加湿器で湿度を保ち花粉が舞い上がらないようにしたり、さまざまな工夫で症状緩和の効果が期待できます。
ダニ・ハウスダストの対策
ダニ・ハウスダストが原因の通年性アレルギー性結膜炎の場合は、できるだけアレルゲンを取り除くことが大切です。
こまめに掃除をするだけでなく、部屋にカーペットや絨毯、布製品などを可能な限り置かないようにして、ほこりがたまりにくい室内環境を目指しましょう。
ベッドシーツや布製のソファカバーなどはこまめに洗濯して、布団やカーテンも定期的に丸洗いするのがおすすめです。
部屋の通気を良くして、除湿器で湿度を下げることで、ダニやカビも対策できるでしょう。
犬や猫などの動物やダニにアレルギー反応がある場合は、室内でペットを飼うのもよく考えた方が良いかもしれません。
コンタクトレンズの対策
コンタクトレンズを使用している場合は、いつも清潔に保つようにしましょう。
レンズに汚れがついていると、アレルギー性結膜炎の症状が強く出る場合があります。
コンタクトレンズが汚れやすい人は、使い捨てのワンデータイプを使ったり、ソフトレンズより異物や傷が付きにくいとされるハードレンズを使ったりするのも良いかもしれません。
それでも症状が気になる場合は、コンタクトレンズの装着を一時的に控えてメガネで過ごすなどの工夫をしましょう。
また、レンズ装着時に市販の目薬を使う場合は、防腐剤が入っていない人工涙液がおすすめです。
カップに洗浄液をためて目を洗うタイプの洗眼薬は、まぶたやまつ毛についた花粉や汚れなどが目に入る可能性があるので注意してください。
目のアレルギー予防にはセルフケアも大事
目のアレルギーには、季節性や通年性などさまざまな種類があります。
治療には点眼薬などが用いられますが、不快な症状からデリケートな目を守るためには毎日のセルフケアが何よりも大切です。
花粉シーズンには対策を徹底したり、こまめに掃除をしてハウスダストが発生しにくい室内環境に整えたりすることで、つらい症状を軽減できるかもしれません。
普段からコンタクトレンズを使っている人は、日頃から清潔に保つことを心掛け、症状が気になる場合は一時的に使用を控えることも考えてみてくださいね。