飛蚊症(ひぶんしょう)は、中高年に多く見られ、視界内に浮遊する点や線が見える症状です。
老化現象の1つとも言われていますが、急激な悪化や新たな症状がある場合は、眼科医の診察が必要です。
主な症状や原因、治療法について、眼科医として「飛蚊症」に権威のある、だんのうえ眼科の院長 大島先生にお話を伺いました。
よくある疑問への回答やアドバイスもあるので、ぜひチェックしてみてください。
【お話を伺った医師】
だんのうえ眼科・二子玉川院
院長 眼科医:大島由莉先生
専門分野である白内障や角膜はもちろんのこと、コンタクトレンズの使用に伴うトラブルなど、「街の眼科医」として目に関するお悩みにはどのようなことでも親身に対応。また、アンチエイジングの分野にも詳しい。
飛蚊症とは
突如として、あるいは気付かない間に、目の前に虫や糸くずのようなものが見えるなど「飛蚊症」の症状や見え方、悩みなどを詳しく聞きました。
どのような症状になるのでしょうか?
一般的には背景が白い壁や、明るいところでものを見ている時に、本来あるはずがないものが見える症状になります。
具体的にはどのような見え方になりますでしょうか?
患者様によって様々な形での見え方になりますが、例えば影や糸くず、虫が飛んでいるような見え方になります。
飛蚊症の患者さんはどんなことで悩んでいますか?
生活している中でずっと見えているので「鬱陶しい」という悩みが一番多いですね。
視線を動かしても見えてしまうので、気になってしまい、何か重大な病気ではないのかと心配して来院される方が多いです。
よく比較される光視症との違いは何でしょうか?
光視症とは飛蚊症と違い、影や糸くずではなく光が見える症状のことですね。
原理としては飛蚊症と似ていて、眼球の中にある硝子体という物体の変化によるものです。
もし光視症で目の網膜や目の奥の病気がなければ、生理的な飛蚊症の一種として考えてもらえれば問題ございません。
飛蚊症になる原因とは
加齢に伴い、硝子体は徐々に縮んでいきます。
この萎縮によって硝子体の後面が網膜から剥がれやすくなり、剥がれた硝子体が小さな虫や糸くず、黒い点のように見えることがあります。
生まれつきの飛蚊症は、血管の残存が原因となることもあるようです。
一般的には加齢など生理的な要因が大きいと考えられます。
加齢による生理的なものなのでしょうか?
そうですね。
加齢による生理的なものが一般的ではあり、来院される患者様のほとんどが加齢による生理的な原因によるものです。
年齢の変化で目の中の硝子体が濁ってしまい、それが飛蚊症の多くの原因になります。
生まれつきのものでしょうか?
生まれつきは少ないと思います。
おそらく若い時に飛蚊症に悩まされることは少なく、年齢を重ねることにより飛蚊症の症状が見られることが一般的ですね。
スマホなどによる目の疲れも原因になりますでしょうか?
スマホによる目の疲れはほとんど無関係だと思います。
スマホによって目の疲れには関係しますが、スマホが飛蚊症に関係することはないですね。
ストレス・食生活の乱れも関係ありますでしょうか?
ストレスや・食生活の乱れについては、現在は飛蚊症との関連性はまだ見つかってないですね。
あまり関係はないと考えていただいて問題はございません。
検査・治療は必ず必要でしょうか?
生理的な飛蚊症であれば、治療の必要はないと考えで問題ございません。
飛蚊症のレーザー治療がありますが、一般的にレーザー治療は始まったばかりですね。
今後どの程度レーザー治療が飛蚊症に有効なのか、生理的な飛蚊症が治せるのか、など副作用も含め検証の段階です。
生理的なものであれば、様子見で大丈夫だと思いますが、ひどい症状が見られる場合は医師に相談してください。
大島先生が経験した飛蚊症の原因は何が多いでしょうか?
網膜剥離による飛蚊症や炎症など、外傷による原因が多いですね。
生理的で老化が原因の患者様もいらっしゃいます。
飛蚊症は自然に治るのでしょうか?
飛蚊症は自然には治りません。
ひどい症状で生活に支障をきたす場合、網膜剥離や眼球の炎症などが考えられますので医師に相談をしてください。
自力でできる改善方法や治し方
目の周りのマッサージや食事などで軽減することは難しいと思います。
ひどい症状の場合は医師に相談するのがおすすめです。
ツボ押しは効果的でしょうか?
効果はないですね。
硝子体の濁りが飛蚊症の原因となることがありますが、硝子体自体には血管が通っていないので、仮にツボ押しで血行がよくなったとしても飛蚊症には効果はあまりないでしょう。
目の疲れには一定の効果はあります。
パイナップルに含まれる成分のブロメラインは効果的でしょうか?
信憑性は低いと思います。
実際にブロメラインが目に届くのかなど、まだわかっていないことが多いですね。
先生がおすすめする対処法は?
飛蚊症の症状をあまり意識しないことです。
飛蚊症は自然には治りません。患者様は起きている間はずっと見えている状態になりますので、あまり気にせず、通常の生活をするのがお勧めです。
まとめ
飛蚊症については定期検査をお勧めしております。
色々な原因から起きる飛蚊症は軽い症状のものから、ひどい症状のものまで様々です。
軽い症状であれば様子見で構いませんが、ひどい症状がある場合は網膜剥離や炎症が原因の可能性があります。
病気的な飛蚊症を早期発見するためにも、一度検査を行うことをお勧めします。
ついでに医師に加齢黄斑変性について聞きました
飛蚊症と同じく加齢が原因で悩む人が多いのが黄斑変性ですが、どういう対策がおすすめですか?
加齢黄斑変性は飛蚊症とは違い積極的に治療を行う必要がありますね。
加齢黄斑変性の自覚症状としては物の歪みや視界の中心部が見え辛かったりします。
予防のためにはルテインを摂り、治療方法としてはレーザー治療や抗VEGF治療などがありますので、
症状が見られる場合は医師に相談してください。
だんのうえ眼科・二子玉川院
院長 眼科医:大島由莉先生
専門分野である白内障や角膜はもちろんのこと、コンタクトレンズの使用に伴うトラブルなど、「街の眼科医」として目に関するお悩みにはどのようなことでも親身に対応。また、アンチエイジングの分野にも詳しい。