近年、増加傾向にあるといわれる「ドライアイ」。
視界のかすみや目の乾きなどの気になる症状があるけれど、治療法や対処法が分からず放置しているという方も多いのではないでしょうか?
この記事ではドライアイの療法や放置するリスク、おすすめの対処法を紹介します。
ドライアイは治療すれば治る?治らない?
ドライアイは、症状が改善し治療を継続する必要がなくなる「完治」が難しいといわれています。
なぜなら、涙の分泌量は一度減ると元に戻ることが少なく、さらに原因を全て取り除く治療もないためです。
しかし、不快感のコントロールや症状の軽減は十分に可能で、病院で診察や処置を受けつつ点眼薬などを使っていけば、生活の質を落とさずに日々を送ることもできます。
加えて、症状に合ったセルフケアや生活習慣の改善といった手軽な努力を組み合わせれば、より快適に過ごせるでしょう。
完全に治すことは難しいですが、眼科医と相談しながら治療やセルフケアを続けていけば、症状を軽減できます。
ドライアイを治療せずに悪化するとどうなる?
単なる目の疲れや乾きとして放置されがちなドライアイですが、治療せず悪化した場合にはどんな影響が出るのでしょうか。
失明する可能性は低いといわれていますが、状態によっては生活に支障がでたり、他の病気を発症したりするリスクは十分にあります。
次はドライアイを治療せず、悪化した場合に起こりうるトラブルを紹介します。
実用視力の低下につながる
ドライアイを治療せず放置してしまった場合には、実用視力の低下につながる可能性があります。
実用視力とは、視力検査で測る瞬間的な視力ではなく、日常的な見え方を指すもの。
以前は視力には影響しないと考えられていましたが、ドライアイにより涙液層が不均一になると、見え方に悪影響が出て実用視力が低下することが最新の研究から分かってきました。
この悪影響は認識できるほどのものでは無いとされています。
しかし、放置するほど物がかすんで見えることが増え、視力は変わらないものの、見えにくさを感じるようになります。
趣味の時間や仕事に影響する可能性も十分に考えられるので、目の乾きが気になる場合は、はやめに眼科を受診するのがおすすめです。
感染症や炎症を引き起こす
ドライアイを治療せず、症状を悪化させた場合に起こりうるのが、感染症や炎症などの目の病気です。
涙の保護機能の低下により目の表面に傷が付きやすく、ウイルスや細菌が侵入しやすくなるため、健康な状態よりも病気のリスクが高い状態になります。
多くの場合は小さなキズが入るだけですが、ひどい場合には感染症や角膜炎、結膜炎のような目の痛みや充血を起こす病気になる可能性もあるでしょう。
さらに、病気にかかった状態を放置すると、視力低下をまねく危険性も。
目の健康を守るためにもドライアイの症状が気になる場合は、放置せずに病院のドライアイ外来や眼科を受診しましょう。
ドライアイ治療の種類・期間・費用は?
ドライアイの治療を検討している方は、どのような種類があるのか、期間や費用はどれくらいかかるのか気になりますよね。
基本的に薬の処方と診察がメインの場合が多いですが、患者の希望や症状によっては、やや高額な治療や持続期間が長い処置を選ぶこともできます。
次は、ドライアイ治療の種類・期間・費用を、処置の内容や薬品の特徴と共に紹介します。
点眼薬
ドライアイの治療でよく用いられるのが点眼薬です。
涙の量を補ったり、目を清潔に保ったりするためのもので、1日に5回〜6回ほど点眼しながら症状の緩和を目指します。
あくまで一時的な効果しかないため、ドライアイと診断された場合には継続的に使い続ける必要があります。
手間はかかりますが、費用は1ヶ月数百円、高いものでも1,000円前後と比較的安く、使い方も普通の目薬とほぼ同じなので、気軽に続けられるのが特徴です。
人工涙液
軽度の涙液減少型ドライアイ(涙が少ないタイプ)の点眼治療に使われている点眼薬が「人工涙液」です。
涙と同じ濃度の塩分を含んだ点眼薬で、シンプルに目の表面に水分を追加するために使われています。
有効成分を含まず、さし心地のクセも少ないので、他の点眼薬が合わなかった方でも使いやすいのが特徴。
すぐに流れてしまうため治療効果は低めですが、治療用と同じ防腐剤不使用のものが市販されているなど、使い勝手に優れた点眼薬です。
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液
「ヒアルロン酸ナトリウム点眼液」は、ドライアイ治療によく使われる定番の点眼薬です。
保湿効果に優れたヒアルロン酸を配合したタイプで、有名な「ヒアレイン」をはじめ複数のジェネリック医薬品が流通しています。
目の乾きによる表面の傷を修復する作用や、涙を保持する作用を持っているのが特徴。
副作用もほとんどないため、ドライアイが気になる妊娠中の方や子どもでも安心して使えるでしょう。
アレルギーの原因となる物質が目に付着しやすい、持続時間が20分と短めというデメリットもありますが、十分な効果を持った点眼薬です。
ジクアス点眼液
ヒアルロン酸を含む点眼薬や人工涙液とは違った仕組みで作用する治療法が、ドライアイ向けのジクアホソル(商品名:ジクアス)点眼液です。
結膜にある受容体に働きかけ、涙を留める効果があるムチンと水分の分泌を促すタイプの薬で、涙の量と質を改善する作用があります。
持続期間も2時間〜3時間ほどと長いため、ヒアルロン酸を含む点眼薬では効果が薄いタイプのドライアイ治療にも活用されています。
症状によっては点眼時にしみたり、目ヤニが一時的に増えたりする可能性もありますが、目の潤いを引き出す力に優れた点眼薬です。
ムコスタ点眼液
レパミピド(ムコスタ点眼液)は、炎症をともなうタイプのドライアイの治療に使われる点眼薬です。
ムチンの分泌を促すほか、角結膜の炎症を抑える作用も持っているのが特徴。
費用が月1,000円ほどと高く、点眼後に視界のかすみや喉の苦味を感じやすいなど、ややクセはありますが、他の点眼薬よりも抗炎症作用に優れているとされています。
また、防腐剤も使っていないのでコンタクトレンズをしたままでも点眼できます。
元は胃潰瘍や胃腸炎の内服薬として使われていたなど、ユニークな経歴もある抗炎症作用に優れた薬品です。
涙点プラグ
色々な点眼薬を使っても、十分な効果が得られない場合に行われるのが「涙点プラグ治療」です。
涙を排出する穴「涙点」にコラーゲンやシリコン製のプラグを使って栓をする手法で、涙を目の表面に留めやすくする効果があります。
コラーゲン製プラグは約3ヶ月、シリコン製なら7ヶ月と持続期間が長めなのもポイント。
費用は片目が1回3,000円〜4,000円、両目なら6,000円〜8,000円と高めですが、点眼薬では効果を感じにくいドライアイの方にもおすすめの治療方法です。
マイボーム腺機能不全の治療
ドライアイの原因の80%以上を占めるといわれているのが「マイボーム腺機能不全」です。
涙を安定させるための油層を分泌する「マイボーム腺」の機能低下によって出口がつまり、涙が蒸発しやすくなることでドライアイを引き起こします。
主に動物性脂肪の摂りすぎや加齢などの影響で起こりますが、アイメイクの落とし残しが原因となる場合もあるといわれています。
このマイボーム腺機能不全を治すだけでも、ある程度症状が改善するケースもあるようです。
マイボーム腺機能不全の治療として、温罨法とリッドハイジーンを紹介しましょう。
温罨法(おんあんぽう)
目元を温めることで、マイボーム腺につまった油分を溶かす治療法が「温罨法(おんあんぽう)」です。
病院では専用の機器を使ったものが受けられますが、アイマスクやタオルを使えば自宅でも簡単に実践できます。
40度以上になるアイマスク、温めたタオルを用意しリラックスした状態で目元を5分温めるだけ。
朝と夜の2回行うだけでも一定の効果が得られるので、症状が気になる方は毎日の生活に取り入れてみましょう。
リッドハイジーン
「リキッドハイジーン」とは、まぶたを洗浄しマイボーム腺や周辺を清潔な状態にする治療法です。
温罨法と同じく自宅でも手軽にできる治療法で、洗顔のときにまつげ周辺を丁寧に洗い、ぬるま湯で洗うだけでも一定の効果が期待できます。
より丁寧に洗いたい、痛みが気になるなら眼科の窓口や通販で購入できる「アイシャンプー」「マイボシャンプー」といった専用品を使うのもおすすめです。
こちらも、定期的に続けることで効果が感じやすくなるので、気になる方は実践してみてはいかがでしょうか?
【最新治療】IPL
マイボーム腺機能不全が原因のドライアイの治療に効果があると、近年注目されているのが「IPL」です。
シミやシワの改善に使われる特殊な光を当てる手法を応用したもので、ドライアイの治療では波長を変えたものが使われています。
新しい手法のため研究中の部分も多いですが、マイボーム腺のつまりや涙の質、炎症といった、ドライアイの根本的な原因を治療できる可能性があるといわれています。
また、国際的な治療ガイドラインにも記載されるほどに安全性も高く、処置後のトラブルが少ないのもメリットといえるでしょう。
デメリットとしては、先進医療のため保険の適応外になるほか、1回6,000円前後(片目なら3,000円前後)の施術を4回ほど受ける必要があるなど、医療費がやや高額なことが挙げられます。
加えて、施術の間隔を2週間〜4週間空ける必要があるなど通院の手間も必要になりますが、根本治療が期待できる方法を試したい方にはおすすめの治療法です。
ドライアイを自力で治す方法はある?
ドライアイ症状は、基本的に自力で治すことはできません。
症状がひどい場合は、眼科医の指示に従い治療を進めるのが最優先です。
しかし、1人でもできる対処法を毎日の生活に取り入れることで、症状の緩和や予防、治療の効果の向上などが期待できる対処法もいくつかあります。
最後に、ドライアイの治療中の方や、予防したい方におすすめのセルフケア方法を紹介します。
対処法①マッサージをする
手軽にドライアイのケアをしたい方におすすめなのが、目のまわりのマッサージです。
劇的な効果はありませんが、目のまわりをマッサージして血行を良くすることで、涙の量を増やしたり、目の健康を維持したりする効果が期待できます。
やり方は簡単で、まずはオイルやクリームを目のまわりや指先に塗り、滑りを良くします。
塗り終わったら指2本を使って眉頭から眉尻にかけてを軽く揉み、そのままの距離感で目尻の横や目の下、目頭の横などを楕円を描くようにマッサージしていきましょう。
ポイントは、1箇所の揉み時間を2秒ほどにすること。
このポイントを意識するだけで、肌への刺激を抑えつつ、目や周辺の血行を良くできるでしょう。
対処法②目を温める
ドライアイの対処におすすめなのが、目を温めるケアです。
治療法でも紹介した「温罨法」そのもので、マイボーム腺のつまりを緩和する効果が期待できます。
横になる、椅子に座るなどのリラックスした体勢になり、40度ほどに温めたものを5分ほどのせておくだけでも一定の効果があります。
手軽に温めたいならホットタオルがおすすめ。
よりリラックスしたいなら、蒸気を出す使い捨てタイプのアイマスクを使っても良いでしょう。
機能性とコスパの両方を重視するなら何回も使えて、レンジで簡単に温められるタイプもおすすめ。
どれも手軽に目を温められて、気分もリフレッシュできるので、ぜひライフスタイルや好みに合ったものを選んで使ってみましょう。
対処法③目にいい食事をとる
ドライアイを予防、対策しつつ目の健康も維持したいなら、目にいい食事をとるようにしましょう。
具体的にはDHAが豊富な青魚や、ビタミンB群が含まれるナッツ類やキノコ類、豚肉など。
あわせて、ビタミンAが豊富な緑黄色野菜、ビタミンCを含む野菜や果物、亜鉛が豊富な魚介類や豆類、肉類をとると、目の健康維持に役立つでしょう。
ドライアイの原因になるといわれるブルーライトの対策には、抗酸化作用に優れた栄養素「ルテイン」をとるのもおすすめ。
ほうれん草や小松菜、ケールなどに含まれる栄養で、継続的に摂取すればブルーライトやストレス、老化による目のトラブルに対する効果が期待できます。
全ての栄養をバランス良くとり続けるのは難しいですが、食生活を見直しつつ、サプリを上手に使えば目にいい食生活も十分に可能なので、ぜひ実践してみてくださいね。
ドライアイが気になったらルテインやビタミンをとろう!
ドライアイが気になったら、自宅でのセルフケアやルテインやビタミンを意識した食生活を取り入れるのがおすすめです。
医療でも完治が難しい症状のためケアにも限界がありますが、対処法を継続していけば症状の予防や緩和といった効果が実感できる可能性もあるでしょう。
しかし、マッサージや目を温めるケアは簡単だけど、目にいい食生活は難しいという方も多いのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが、最高級ルテインを100%使用したゼリータイプのサプリ「朝のルテイン」です。
緑の葉物野菜をたくさんとらないと積極的な予防に必要な量が摂取できないルテインですが、このサプリを使えば手軽に必要な量以上のルテインを摂取できます。
また、アミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富なプラセンタ、目の健康維持に役立つゼアキサンチンを含有しているのもポイント。
気になる方はぜひ毎日の食生活に取り入れて、ドライアイの対策に役立ててみてはいかがでしょうか。